しかし、佐伯くんは素直に頷いて、私の言葉に同意してくれた。

「ほんと、可愛いね」

この人、何考えてるんだろう。
明らかに普段と態度が違う。
絶対こんな気軽に、女の子に可愛いとか言うタイプじゃない。

「潤ちゃんのお友達?」

だけど、花音の態度が少し和らいだので、私は少しほっとした。

「あ、うん、そう。高校が一緒だったの。法学部の佐伯くん」

尋ねられて、私は頷いて佐伯くんを見る。
佐伯くんはにこりと笑い、どうも、と親しげに頭を下げた。

「うちの潤がお世話になってます」

潤!?

呼び捨てにされて、私はばっと佐伯くんの顔を見上げる。
今まで名前で呼ばれたことなんかないんですけど!
佐伯くんは、涼しい顔をして私にも爽やかな笑みを向けた。

「うちの、潤?」

そんな私たちの間に、凍りつくような低い声が聞こえる。
はっとして花音のほうに顔を向けると、彼女は再び眉を寄せ、不快そうに佐伯くんを睨んでいた。

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