END


頭のてっぺんにキスをすると、ミレイユは顔を上げて、お返しでもするように唇の端をぺろんと舐める。
やっぱり獣姿でいるときと混同している。

獅子の彼女にするように顎をくすぐってやると、気持ちよさそうに目を細めた。
手を差し出すと、かぷりと噛まれる。
まるで理性を試されているようだ。

「ミレイユ」

そしてヴィムに大して忍耐力があるはずもなく、彼はミレイユに噛みつくようなキスをした。
ミレイユが驚いたように目を見開く。
その反応すら可愛い。

深く、長い口づけを交わす。
合間に漏れる吐息が荒くなっていく。

「まって……ヴィム、まっ……」

腕を掴むミレイユの爪が肌に食い込んで痛みを感じたが、ヴィムは今更やめられなかった。
何度も何度も角度を変えて、溺れるように没頭する。

どっちが飼い主かわからないな、とレイモンに言われるのも仕方ない。
だって、俺は昔からミレイユに夢中だった。

人見知りの彼女を懐かせるのに必死で。
気の弱い彼女を守るのが自分の役割になって。
いつだって頼ってくれて、甘えてくれて、俺だけに寄り添ってくれて。

獅子の姿でも人の姿でも、俺はミレイユのものでミレイユは俺のものだったのだ。

「ミレイユ……!」

そのまま勢いで押し倒したところで、ふいにばしんと頬に鋭い衝撃が走った。
ヴィムは突然の出来事に思考がふっとんで、目を白黒させてぽかんとする。

目の前にはベッドに脱ぎ捨てられたミレイユのドレス。
その向こうで威嚇の姿勢を取ってこちらを睨んでいるのは、可愛い俺の獅子、いや、神様だ。

「またかよ……!」

ヴィムはがくりと肩を落とし、ベッドに寝転んで頭を抱える。
頭上では低く唸る声。
しっぽで打たれた頬が痛い。

「ミレイユのばか」

行き場を失った熱を持て余して、ヴィムは八つ当たり気味に呟いた。
視線の隅でしっぽが翻って、さっさとその場を去っていくのにヴィムは大きな溜息をついたのだった。

END


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