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しかし。
「いたっ」
突然ばしりと何かが足を叩いて、ヴィムは声を上げた。
何事だ。
怪訝に思って痛みのほうを向くと、ミレイユのしっぽがぎゅっと足に巻き付いた。
「いっ……いてえ!ちょっやめろ悪かったから!離れます!!」
ぎりぎりと締め上げられて、ヴィムは思わずベッドを叩いて許しを請う。
すると、ゆるりと締め付ける力が緩んだので、ヴィムは思わずミレイユから飛び退いた。
「くっそ本気で締めやがって……」
「だ、だいじょうぶ?」
「げ、痕になってる……」
ぺろりとズボンをめくると、締め付けられたところが赤くなっている。
そろそろと覗き込んだミレイユが、心配そうに眉を下げた。
「ミレイユ、おまえの神様どうにかしろ」
「……でも、私を守ってくださっているのだし」
「俺が敵か。ちくしょう」
ヴィムが口を尖らせると、ミレイユは困ったようにごめんなさいと謝った。
言うまでもなく悪いのはヴィムなのだが。
「これで許す」
ちゅ、と軽く唇を合わせ、ヴィムはにやりと笑う。
ミレイユはびっくりした顔をして、再び頬を朱に染める。
すると、またもミレイユのしっぽが勝手に動き、先ほど以上の力でヴィムの手を打ったのだった。
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