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「おはよう、お姫様」
目が覚めたミレイユは、シーツにくるまったまま起き上がり、ぱちぱちと瞬きをした。
顔を洗って戻ってきたヴィムは、ベッドの縁に座って額にキスをする。
「はっ……」
ミレイユは、状況が読めないらしくぎょっとしたように身を引いた。
「寝ぼけてんの?」
尋ねると、次第に昨晩のことを思い出してきたらしく、ふるふると首を横に振る。
「お、おぼえて……」
それから口を開き、自分が言葉を発したことに驚いて、慌てたようにシーツの中の自分の身体を確かめた。
「大丈夫。俺も今起きたところだから、何もしてないよ」
ヴィムはくすくすと笑って、からかう口調で言う。
ミレイユは真っ赤になって、体を縮ませてシーツを首まで引き上げた。
まったくなんと可愛らしい。
むくむくと悪戯心が湧きあがってきて、ヴィムはベッドに膝をつく。
「えっ」
とん、と肩をつくと、ミレイユはあっさりベッドに倒れた。
目を白黒させてこちらを見上げる顔が不安げに変わる。
ヴィムはにやりと笑って、もう一度額にキスをした。
ミレイユの体が硬直する。まぶたに、頬に、唇にキスを落とし、赤く染まった耳を食む。
「ヴィ、ヴィムっ」
ミレイユの手が腕を押す。
そんなに頼りない抵抗では、逆に男心を煽るだけだ。
ヴィムは耳から首へと唇を滑らせた。
なめらかな肌に舌を這わせる。
ミレイユの口から微かな高い声が上がって、ヴィムは悪戯で収まらなさそうな興奮を覚えた。
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