END


「じゃあ、また迎えに行ってもいい?」

私が尋ねると、旭はちょっと笑う。

「うん。来れんの?」

「た、たまになら……」

「俺が大学生の間にもう一回くらい行けたらいいな」

からかう口調で言われてむっとしたが、確かに当分はいいかなと思ってしまったので、あえて反論はしなかった。

まぁでも、嘘は言わない男なので、うれしいと言ってくれたのは本当だろうし、だとしたら私もとてもうれしい。
おかげで父と母にも安心させる報告ができるだろう。

そう思ってやっと口元を緩ませると、旭はそれを見て目を細めた。

「大丈夫だよ。まわりになんて言われても、俺たちには俺たちの付き合い方があるんだから」

「……うん」

「今日は来てくれてありがとう」

ああもうほんとうに、この人は私に甘い。
溶かされそうな笑みに、私はどうしようもなくなって下唇を噛んだ。

「また行きます」

「うん」

「今度はちゃんと考えて行きます」

「はいはい」

「……今日、楽しかった」

ぼそぼそと、ついでを装って自分の気持ちを絞り出す。
そんな私の頭を、旭の手が褒よくできましたと褒めるようにくしゃくしゃと撫でた。

こうしてデートを重ねるたび、ちょっとずつ成長していける気がする。
いつか旭をリードできるように。
なんて、無謀な目標をそっと胸に秘めて、私はようやく旭に笑みを返したのだった。

END


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