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予想外の言葉に私はきょとんとし、旭は一瞬動きを止めた。
「そりゃこんだけ奇麗な彼女がいたら独占したくなるのもわかるけどさ、あからさますぎんだろ」
内田くんは笑いを噛み殺して続ける。
からかうように言われた旭の顔に、さっと朱が上る。
つられるように、私の頬も熱くなった。
「心配しなくても、森川くんの大事な彼女にちょっかい出したりしませんよ」
「ちげぇよそんなんじゃない」
「かっわいいなぁおまえ。照れてんのかよー」
「やめろ」
内田くんの腕が旭の肩に回されて、旭はそれをぶっきらぼうに振り払う。
まぁ、こいつの独占欲などは束縛されてる側としては当たり前に受け止めてきたのだが、やっぱりはたから見ると少し変わっているのかもしれない。
特に旭はなんでも態度に出やすいし。
そう考えると恥ずかしい。
いかに自分が大切にされていて、想われているかというのが、他人様にも伝わっているなんて。
「美夜ちゃんからも言ってやってよ。ただのオタク仲間ですよーって。仲良くしてもいいじゃない、ね?」
「……ただのオタク仲間です、よ」
「おまえも調子のってんなよ」
「やだー旭くんこわーい」
照れ隠しでか、旭の口調がいつもよりきつい。
しかし、それを見て引くわけでも怒るわけでもなく、内田くんはけらけらと笑った。
その様子に、私はなんだか羨ましくなってしまう。
気の置けない友達って、たぶんこういう関係のことをいうのだろうな。
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