「うっわ、めちゃくちゃ可愛い。予想以上に可愛い」

「おにんぎょさんみたい!髪つやっつや!肌つるっつる!」

「ちょっとおまえいくらなんでも美人すぎだろ!だから隠してたのか!」

「やばい奇麗。こんな綺麗な子初めて見た!」

遠慮ない視線を向けられて、立ち上がった美夜が、俺の背後に隠れてシャツを掴む。
それを見て、さらに可愛い!と四人が声を上げた。
思わず苦笑いが浮かんだ。

「こいつら大学の友達。こっちは彼女の美夜」

「よろしくー!」

「……よろしくお願いします」

「ぎゃー!声まで可愛い!」

勢いに押されて、美夜がぺこりと頭を下げる。
またも歓声が上がり、美夜の肩が跳ねる。
大丈夫かこいつら。
俺はなだめるように美夜の頭に手を置いた。

「これからごはん一緒に行こうよー!」

「いや、こいつ人酔いしてるみたいだから遠慮しとく」

「えっ、大丈夫?体弱いんだっけ?」

美夜は黙ってこくこくと頷く。

「悪いけど、俺はここで抜けるわ」

「おーしっかり美夜ちゃん送ってけよー」

「言われなくても。つーか気安く名前呼ぶな」

俺の言葉に、友人たちはきょとんとした後、盛大に吹き出した。
くそ、恥ずかしい。
だけど独占欲が強いのは隠せない。

「じゃ、また明日な」

「はいはいお幸せにー。まったねー美夜ちゃん」

「じゃあねー美夜ちゃん」

ばいばーいと手を振られて、美夜がにこりと微笑んだ。
途端に、今まで騒がしかった声がぴたりと止まる。
その反応に美夜がきょとんと俺を見上げたので、思わず苦笑いを浮かべた。

「あんまり人に笑顔をばらまくなよ」

一言忠告して、手を取って歩き出す。
美夜は意味がわからない様子だったが、手を引かれるままについてくる。

これは明日学校で騒がれるな。

背後で魂を抜かれたように頬を染めている四人に、呆れて溜息をつきながら、俺は少しの自慢を込めて美夜の手をぎゅっと握った。

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