「今日バイト休みだろ。カラオケ行こうぜー」

講義が終わり、荷物を片付けていると、友人たちから声を掛けられた。
今日はサークルもバイトもない。
帰っても美夜は寝ているだろうし、二つ返事で承諾する。

「彼女?」

「んー」

「マメだね旭くん。よく連絡してるよねー」

「普通だろ」

俺は美夜に連絡しながら、茶化してくる女友達に適当に返事をする。

男三人に女二人、よくこの五人でつるんでいるので、彼女ができたということも話してある。
はっきり言ってモテるので、彼女いない歴=年齢だということがバレてからはホモかと騒がれていたが、無事に美夜と付き合えたおかげでその誤解も解けた。

「超美人なんだろ、彼女」

「うん」

「おまえの彼女なんだからよっぽどなんだろうな。お目にかかりたいなー」

「誰がおまえに見せるか」

肩にのせられた男の腕を、容赦なく振り下とす。
こんなふうに会わせろとうるさいが、体が弱くて外出できないということで通している。
高校まで一緒だった友人たちはもちろん美夜を知っていて、俺の気持ちもバレていたから楽だった。
付き合い始めたと報告したときは、長い片思いから解放されたことを自分のことのように喜んでくれた。

本当はどちらにも紹介したいと思うが、対人恐怖症の美夜は絶対に嫌がるだろう。
それはそれで、独り占めしているようで気分はいいが。

携帯の画面を見たが、いつもどおり返信はない。
俺は友人たちと大学を出て、賑やかに駅前のカラオケ店へと向かった。

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