ペンギンはしっかり洗われて、ひなたぼっこをして綺麗になっている。
膝にのせてテレビを見ていると、風呂を終えてリビングに入ってきた凌が呆れた顔をした。

「ほんと、いつのまに仲良くなってんの」

「あんたが気に入ってるわけがわかった。腕置くのにちょうどいい」

「そんな使い方しないで。私は純粋に可愛がってるんですよ」

隣に座った凌が、俺が抱えたペンギンの頭を撫でる。
なんだそれうらやましい。

「こいつばっか贔屓しすぎ。俺にもかまえ」

「ほんとクソガキですね」

ぼすんと凌のほうに倒れると、彼女はつれない口調で言いながらも、ぐしゃぐしゃと頭を撫でてくれた。
石けんのいい匂いがする。

機嫌が良くなったので、俺はペンギンを腕に抱え直してやった。
悔しいことに、ふかふかして気持ちいいのだこいつは。
無意識にぎゅーっと抱き締めていると、頭上でくすりと凌が笑った。

「だって、あなたが買ってくれたから大事にしてるんですよ」

なだめるように言われた言葉に、俺は目を上げる。

「だったらこれじゃなくて俺を大事にしろよ」

「十分してるじゃないですか」

「足りねぇよ。あんた、俺よりこれにべったりじゃねぇか」

「これ以上どうかまえって言うの」

呆れた表情になったが、凌の口調はどこか楽しげだ。
それが面白くなくて、無意識に拗ねた態度になると、凌はぽんぽんと俺の頭を撫でた。

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