雨がぱらぱらとふっていた。
私のいる場所は庇に隠れているので、雨が降っても問題ない。

雨の日は堀くんは現れない。
だが、その日はなぜか姿を見せた。

「そっち行っていい?」

傘も持っていないしどうするんだろうと思っていると、ふいに彼がこちらを見て口を開いた。
私は驚きのあまり彼の言ったことが理解できなかったが、意味が呑み込めるとまた驚いて荷物を自分のほうに寄せた。

堀くんは特に何の反応も見せず、庇の下に入ってきた。
そして、当然のように私の隣に腰を下ろすと、いつものように煙草を取り出して火をつける。

一緒にいるところを見られたら、私も指導室に呼ばれるのかな。

気の小さい私は、そんなことを考えながらも逃げることができず、堀くんのほうは一切見ないようにしてお弁当を食べることに専念した。
彼も全く私に目を向けることもなく、降り続ける細い雨を眺めながら、ゆっくりと煙草を吸い続けた。

私がお弁当を食べ終えて、読書を始めてからもずっと彼はそうしていた。
予鈴が鳴って、私が教室に戻ろうとするときも、彼がその場から動く様子は見られなかった。
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