十二月のはじめ、いつも通りやってきた堀くんに変化があった。
あの明るい色の髪が、真っ黒になっていたのだ。

思わず箸を止め、ぽかんと堀くんの顔を見ていると、彼はそれに気づいて珍しく口を開いた。

「大学受けるんだよ」

その言葉にさらに目を丸くしたが、堀くんがちょっと苦笑して視線を外したので、私は我に返って慌てて食事を再開した。
だが、すぐにいつも通りライターの音がしたので、ちらりと目を向けてしまう。
すると、またも堀くんと目が合った。

「これは息抜き」

視線の意味を見透かしたように、堀くんが唇から煙草を外して軽く持ち上げた。
私は言葉を返すことができず、わけもわからず頷いて視線を落とす。

正面から見て気づいたが、堀くんはもうピアスもしていなかったし、眉も短くしていなかった。
大学行くっていうのは意外だったけど、根は真面目な人なんじゃないかってことは、けっこう前から気づいていた。

こんなこというとおかしいかもしれないけど、私と似ていたのだ。
喧騒を抜け出して、この場所に休息しに来ている気がした。
校舎の中で友達と接しているときと全然違う。無口で、優しくて、いつの間にか怖いと感じなくなっていた。

本当の彼はこっちなんじゃないかって、いつも思っていた。
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