「いや、でも、男と一緒にいるのがまずいって言うけど、寝るときは人の姿じゃないし」

「はあ?」

「俺は大人しく寝ている。今までと何も変わらない。なぁミレイユ」

ヴィムは慌てて言い訳を始め、レイモンは胡散臭げに眉間に皺を寄せる。

「夜は今までと変わらないんです。ただ、その、起きているときに姿が変わると、まだ慣れなくて……」

ミレイユはヴィムに尋ねられて頷き、困った顔で後に付け加えた。

確かに、突然ペットが人間の男に変われば動揺もするだろう。
だけど正直、ミレイユに正体を明かすまでは、彼女が戸惑うことなど一切考えていなかった。
自分が人間の姿に戻ること、ミレイユを引き留めることしか考えていなかったのだ。

彼女が人として認識してくれるまでは、自重して行動しなければならないのはわかっている。
しかし。
七年も傍で見てきて、触れたいと願っていた人が目の前にいるというのに、黙って我慢していられるはずがない。

「ではこうしよう。ヴィム、おまえは人の姿でいるときはミレイユの部屋に立ち入るな」

「はっ?ふざけんな、何言ってる」

「ミレイユが慣れるまでだ。急に、この男がヴィムだから今までどおり仲良くしなさいと言われても無理だろう。だいたいおまえは普通の男としても慣れ慣れしすぎる」

「別に俺は、今までどおり……」

「だから。おまえにとっては今までどおりでも、ミレイユにとってはそうじゃないということだ。ミレイユが好きなら困らせるな」

そう言われたら黙るしかない。

ちらりとミレイユの様子を窺うと、彼女は申し訳なさそうに眉を下げる。
拗ねた顔で甘えるように抱き着こうとしたヴィムに、さっそくレイモンの大きなげんこつが落ちてきたのだった。

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