ヴィムは眉間に皺を寄せていたが、言葉を呑み込むように口をつぐみ、視線を落とした。
理解しようと考え込んでいる姿は、これまでどおり可愛い獅子の姿で、ミレイユは彼の頭に手を伸ばした。

「一緒にいないと不安なんだ」

頭を撫でると、ヴィムが躊躇ったように口を開く。

「俺が変わっても、ミレイユは側にいてくれる?」

その不安そうな声に少し笑って、ミレイユは安心させるように頷いた。

「大丈夫よ。あなたは、姿は変わっても中身は変わらないもの」

ミレイユの答えに、ヴィムは少し驚いたように目を見開く。
それから、腕を伸ばしてぎゅっとミレイユに抱き着いた。

「よかった、安心した」

「不安だったの?」

「とっても」

正直な返事に、ミレイユはくすりと笑う。
ヴィムがミレイユの肩に埋めていた顔を上げ、拗ねた顔をする。

「心配しないで。もう勝手にいなくなったりしないから」

ミレイユはヴィムの髪を撫で、彼の体を抱き返した。
ヴィムの体が少し驚いたようにぴくりと跳ねる。
だが、すぐに腕に力がこもった。

可愛いヴィム。
獅子の姿でも、人の姿でも、彼の美しさはまったく損なわれない。
ゆえに、私も変わる必要はないのだ。
これまでどおり、これまでの役目で、ヴィムの傍にいられればいい。
それでも変化が必要ならば、これから一緒に変わっていけばいい。

抱き締められている温度が心地良い。
この時間があれば不安になっても大丈夫だろうと、ミレイユはヴィムの腕の中で思った。

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