「どうしたの潤ちゃん。元気ないね」

花音が不思議そうに愛らしい顔を傾ける。
はっとして、私はフォークを持ったまま手を止めていたことに気づく。

日曜日。可愛いカフェ。美味しそうなケーキにカフェラテ。
花音が楽しみにしていたのに、全く集中できない。

「あの男に何かされた?」

鋭い言葉に、思わず苦笑いを浮かべる。
でも、されたのではない、私がしたのだ。

少し躊躇って、私は事の顛末を話す。
意外にも花音は怒るでもなく、真面目な顔で頷きながら聞いてくれた。

「それは潤ちゃんが悪いよ。なんで今日ここに来ちゃったの」

「……ですよねー」

軽く笑われて、私は溜息と一緒に乾いた笑みを漏らす。

「潤ちゃんは、他人に優しく自分に厳しくって性格だから、そう考えるのもわかるけど。でも、潤ちゃんは可愛いよ。そのへんの女の子よりずっと可愛い」

私は複雑な表情で首をひねる。
花音はお世辞なんて言わない子だけど、正直彼女に言われても説得力に欠ける。

黙っていると、頭を撫でられた。
花音はなだめるように落ち着いた笑みを浮かべる。

「花音もそうだからわかるけど、あの人は、潤ちゃんが人を顔で判断しないような子だから好きになったんだと思うよ」

頬杖をつき、花音が悪戯っぽく私を見る。

いつか佐伯くんにも言われたことがある。
なんで、花音までそんなこと。

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