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「ええええ!王子と付き合ってるの!?」
信じられない!と食いつかれんばかりに聞き返されて、私は思わず身を退く。
「なんでなんで?うらやましすぎる!紹介して!」
「いやいや、付き合ってるって言ってるよね」
「付き合ってるとか贅沢者!」
そんなこと言われても。
イケメン好きの彼女は例外としても、高校時代の友人に佐伯くんのことが知られるたび、同じような反応が返ってくる。
どんだけ目立ってたんだ、王子。
思えば私は他学年や他クラスとの関わりがなかったから、ほとんど高校時代の彼のことを知らない。
にもかかわらず、同じ高校出身だというだけで彼と付き合えたようなものだ。
偶然ってすごい。
私も同じとこ行けばよかった!と悔しがっている友人のことは無視しておく。
「じゃ、今度紹介してね!」
「遠慮しとく」
「やだ、独り占めしないでよっ」
笑いながら肩をはたかれて、私は苦い笑みを返す。
こんなふうにうらやましがられると、複雑な気分になる。
私にとっては自慢の彼氏。
だが、佐伯くんの立場に立ってみると、申し訳なくて土下座したくなるのだ。
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