13


カフェの帰りに、遠回りをしていつもの公園を歩く。
長話をしているうちに、もう日も落ちてしまっていて、澄んだ夜空に月が綺麗に浮かんでいる。

「わ、雪だよ」

ふわりと白いものが視界を横切って、二人揃って空を見上げた。

「寒いと思ったら。初雪じゃない?」

「一緒に見られてよかったね」

たぶん無意識に出たのだろう。
空を見上げたまま、潤がそんな言葉をくれる。

「……なに」

そうだね、と頷いて、俺は潤を近くの木の陰に引っ張り込んだ。
途端に警戒を見せて潤が身を引く。
俺はにやりと笑って、逃げられないように腕の中に収める。

「大丈夫、誰もいないよ」

「そういう問題じゃなくて。外だよ」

「じゃあ家に行く?どっか寄る?」

「いやいやいや、明日も学校だし……」

「じゃ、ここで」

なんとかやり過ごそうと口実を探す潤の唇を塞ぐ。
俺だって公園でキスするようなバカップルは死ぬほど嫌いだが、まぁ今日のところは許してほしい。
夜だし人もいないし、ここしばらくのもやもやを晴らしたところで仲を深めるべきときだ。

唇を離すと、潤が顔を真っ赤にしてばしっと俺の腕を叩く。
俺は笑って熱の上がった彼女の体を抱き締めた。

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