講義が終わり、校舎からぞろぞろと学生が出てくる。
その中にこちらに近づいてくる二人を見つけて、俺は無意識に嫌な顔をした。

「おまえの彼女なんなわけ?なんであんなに花音にべったりなわけ?」

「おまえの目は節穴か。べたべたしてんのはてめぇの女だ」

同じように不機嫌な表情をしている好人に言い返し、俺は潤と腕を絡める阿呆の姿にげんなりした。

はっきり言う。
俺はあの女が嫌いだ。

潤を好きだと近づいてきて散々振り回しておいて、やっぱり彼氏が好きだとほざいたあげく今も何事もなかった顔で潤につきまとっている。

その無神経さに腹が立つ。
潤のお人好しさにまで腹が立つ。
自分がこの女以下だったのかと思うと死にたくなる。
まぁ理由はなんだっていい。
俺はこの女が嫌いだ。

「お待たせー」

花音が潤を引っ張って駆けてきたのを見て、すぐに表情を緩める好人とは裏腹に俺は白い目を向ける。

「その汚い手で潤ちゃんに触らないでくれる?」

「汚くないわよ!あんたこそなんで好人といるの!」

「俺は潤を待ってたんだよ。さっさとこのブスを連れて帰れ」

「花音のどこがブスなんだよ」

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