「可愛くなったな、おまえの彼女」

キャンパスの休憩所のテーブルで、目の前に座っていた好人が突然言った。

「って、花音が毎日言っている」

苦々しげに続けた言葉に、俺は思わず吹き出した。
現在講義を終え、お互い彼女待ちということでだらだらとしゃべっているところだ。

いつまのに友達になってしまったのか。
できれば距離を置きたいところだが、肝心の女二人が仲良くしているおかげで俺たちもつるむはめとなっている。

「潤はずっと可愛いよ」

「へーへー。でも、花音だけじゃなくて学科の人たちも言ってるらしいよ」

「学科?」

「あいつらの。心理学科」

好人がスナック菓子を口の中に放り込みながら言う。
俺はコーヒーを持ち上げた手を止めて、顔を顰める。

確かに、出会った頃に比べて彼女は随分可愛くなった。
とはいえ、基本Tシャツジーパンで、今も控えめなのは変わらない。
だけど、スカートやワンピースを着る機会が多くなった。
髪型を気にするようになった。
化粧もうまくなった。

ずっと一緒にいる俺だから気づいた変化だと思っていたが、どうやら周りの人間も気づいていたらしい。
うれしいと同時に、少し不愉快だ。
他人にそういう目で見られるのは困る。

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