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「ありがとう、いただきます」
うれしそうに手を合わせて、潤がお土産のチーズケーキを口に運ぶ。
人のいない平日の公園デートは、大学生の特権だ。
俺は作ってきてもらったお弁当を食べ、潤は早々に食事を切り上げてケーキを食べている。
街に出たがらない彼女をどう連れ出そうかと考えた結果、こんなほのぼのとしたデートが多くなった。
似合わないのはわかっている。
だけど、一緒にいられればなんでもいい。
「潤ちゃん、実家にいるのに料理するんだね。上手」
俺はからあげを頬張って、しみじみと味を確かめて言う。
「いやいや、佐伯くんが作ってって言うからでしょ」
「え、練習してくれたの」
「だって私、料理なんてしたことないし」
「……なにそれ、うれしい」
真顔で言うと、潤は恥ずかしそうに目を逸らす。
今のはちょっと、いや、かなりうれしかった。
俺もそうだが、彼女はあまりべたべたした接し方をしないので、たまにこんな甘さを見せてくれるとぐっとくる。
見た目も人当たりもさっぱりしているほうだけど、中身はけっこう女の子っぽいのかもしれない。
ふとしたところでそれが表れると、思わず口元が緩んでしまう。
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