END
「潤ちゃんたちって、いつもどこでデートするの?」
拗ねたように花音が尋ねる。
チョコを食べながら、好人くんがそれに答える。
「家じゃねーの。外で何すんの」
「あんたと一緒にしないでよ」
「家とか行ったことないよね」
「え?」
私の返事に、二人は目を丸くした。
「え、まだなの?」
何がだ。
私が黙っていると、佐伯くんが横から口を挟んできた。
「君たちみたいな下品なカップルと一緒にしないでくれる?僕たちは健全なお付き合いをしているんです」
「はあ?」
「なに下品って!」
「ま、そろそろ潤ちゃんには覚悟しといてもらわなきゃいけないけどね」
そして、にやりと笑ってこちらを見た。
だから何の話だ。
「潤ちゃんに手ぇ出さないでよ!」
言葉に詰まった私の代わりに、花音が声を上げる。
佐伯くんはその反応を面白がって、わざとらしく私の髪に手を絡ませる。
そしてまたいつもと同じ展開。
桜の花びらがひらひらと散っていくのを眺めながら、私は今日も平和だなぁと現実逃避をするのだった。
END
← | →