初めての男は実の父親だった。

死んだ母親の名前を呼びながら父は俺の中で果てた。
父の唾液にまみれた身体が汚らわしくて、夜中にシャワーを浴びたら義母に怒られた。
何だかとても打ちのめされて、世界中から見捨てられたような気分になった。

そして多分それは間違いじゃない。

だから今もこうして、父親は俺の肛門に性器を差し込んで、捩れた愛情を注いでいる。
ただ分かっているのは、父が愛するのは俺じゃないってこと。
愛してると囁く相手は、俺と同じ瞳を持った、永遠に喪われた母親なんだ。

いつからかどちらにも憎しみしか抱けないようになった。
そしていつからか、俺は恋だとか愛だとか、そんなものを理解する努力を放棄した。

そんなのは全て戯れ言だ。

俺自身が生きていることさえ、もうどうでも良い。


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