会わない間にもアイツからは毎日連絡が来た。
最初のうちはわざと冷たくしていたのに、何も変わらずに。
そのうちに俺の気持ちも落ち着いた。
もう許してやる気になった。
前みたいに会うようになったし、部屋に行くようにもなった。
もちろんキスもセックスもするようになった。
ただアイツの部屋でだけはセックスしなくなった。
一度だけ、浮気を知ってからアイツの部屋で一度だけセックスをした。
酒を飲んで、いい雰囲気になって、お互いに欲情して。
ベッドで裸になってシーツに触れた瞬間、言いようの無い嫌悪感に支配された。
このベッドの上で。
アイツの指先が胸を這い回る。
アイツとあの子は。
アイツの舌が首筋を舐める。
キスをして。
アイツが性器を撫で上げる。
俺にするみたいに。
ベッドヘッドのジェルを肛門に塗り付けて。
コンドームのフィルムを破って。
欲にまみれた息を吐いて。
体内にアイツを受け入れて感じてはいた。
気持ち良さはたしかにあった。
けれどアイツが絶頂を迎えても、俺は萎えたままで射精出来なかった。
それからも俺はアイツとの関係はズルズルと続けた。
二人で遊びにも行くし、じゃれあったりキスもした。
会ってセックスする日もあれば、しない日もあった。
アイツの部屋以外では俺も普通に勃つし射精もした。
ただアイツの部屋でだけは駄目だった。
アイツの部屋の嫌悪感だけは、ずっと消えないままだった。
何も変わらないアイツの部屋では、あの後輩が、その存在が、俺の中から消えなかった。
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