一番惨めなのは誰だろう。
浮気された俺。
浮気をしたアイツ。
浮気相手のあの子。
浮気は裏切りか?
――イエス、俺にとっては。
バレなきゃ良い、当たり前だ。そう思うならもっと上手くやれよ。
少なくとも俺は、浮気されてそれでも付き合ってられるほど神経は太くない。
ああ違う。
浮気を繰り返されて、それでも許せるほど寛容じゃない。
アイツは後輩と浮気した。
それも何度も。
別れてしばらく経って、やっと傷も癒えそうになってたのに。
結局アイツの部屋には、まだあの後輩がいて。
俺はあの時の、あの酷い気分を思い出さずにはいられなかった。
それなのにその後輩が、アイツの浮気相手だったあの子が。
アイツは俺のことが好きだなんて言う。
泣くくらいなんだから、あの子はアイツが好きなんだろう。
その好きなアイツのために、言ってみたら恋仇の俺に涙を見せる。
本当に理解できない。
俺はあの子が嫌いだ。
自分の気持ちなんて真っ直ぐにぶつけられない。
自分じゃない誰かを写す瞳を許せない。
でも本気で許せないのは。
それでもアイツを嫌いになれない俺自身だ。
こうやって何度も、何度もアイツのことを考えてしまう。
ふっ切ったつもりでも悔しさとか悲しさが堂々巡りする。
忘れようとするのに胸が痛い。
情けないと思う。
思いながら、簡単に揺らぐ自分の心に振り回されている。
自分が情けなくて、惨めで、だけどそれをどうにかする術が見つからない。
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