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☆SANATSUMA☆なミステリーの世界 | ナノ

ミステリーツアー 序章


気だるい午後に、高速道路を走る一台の車。中には4人の若者がいるけど、目的地を知っているのは、運転席のトラさんだけ。本日はミステリーツアーと題して、兄貴分のトラさんがこっそり選んだホラースポットへ探検に向かうのだ。
とはいえ、窓から見える景色はいつもながら、どこまでも続くガードレールと、時々すれ違う対向車…そろそろ退屈してきたなーって頃、タイミングよくパーキングエリアにたどり着いた。

「ここから結構遠いんすか?」
「いや、案外もう近くだよ」
「へえー、どんな場所なんだろ?この辺森が多そうだけど」
「踏み込むにあたって、注意点とかあります?」
「うーん、とりあえず、いつもとおんなじかな。足元注意!頭上注意!」
「ハハ、やっぱしー」

休憩所でアイスを食べながら、何気ない会話で盛り上がるうち、いつしかこんな話に。

「トラさん、何か怖い話ないっすか?人怖系で」
「えー?あるにはあるけど…結構ヤバいよ?聞きたい?」
「はい、聞きたいっす!」
「この国って昔は土葬だったじゃん、そ頃の話ね。昔は、不幸な死に方をした人が恨みで生き返って、まだ生きてる人を襲うって信じてたらしくて。葬式の時、遺体が動き出さないように布でしっかり巻いたり、手足を縛ったり、ひどいと腕や脚…」
「えっ?まさか、取っちゃう…」
「嘘でしょ…」

一瞬で空気が凍り付く。トラさんは何も言わずに笑ってるから、それが余計に怖い。

「襲われるのは、死んだ人に年齢や見た目が似てる人って言われてて、皆知らない人のお葬式でも出かけて行って、その人が自分と似てないか確かめたらしいよ」
「えっ…!まさか、今でも葬式の時に遺影を大きく飾るのって、その名残り…?」
「かもしれないよね。ちなみに、教えてくれたのは怪談マニアの友達だから、本当かどうかは分かんないけど。俺も聞いた時、結構ゾクッときたよ」
「ゾクッとどころじゃないっすよ…」
「よくこんな怖い話知ってますね?」
「いやー、なんか怪談の方から寄ってくるんだよね」

ビビる後輩達を前に、トラさんは不敵に笑った。
そこから更に車で田舎道を進んで、一行はとある森の入り口に到着。

「ここからは歩きだから、しっかり準備して行こう」
「了解っす!」

皆で気合いを入れて車から降り、ふと空を見上げると、まだ昼間なのに薄暗く、雲の切れ間から一瞬、赤いレーザーみたいな光が見えた。思わずシャッターを切るが、そこには何も映らなかった。

森に入ってしばらくすると、道の途中に、ぽつんと地蔵が。思わず手を合わせるトラさん。理由を聞くと、いかにもトラさんらしいエピソードが。

「子供の頃さ、道でコケた時にふと顔を上げたら、横にお地蔵さんがいたのよ。で、なぜかケガもしてなかったんだよね。何か、守ってくれたのかなーって。だから、今でもお地蔵さん見かけたら、手を合わせて、あの時のお礼してる」

後輩達もそれにあやかって、ミステリーツアーの安全と成功をお願いしたのだった。





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