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今日はいつもより冷え込む。そう思い、窓の方へ目を向けた実葉は思わず息をのんだ。

――窓の外が白い。

もちろん、実葉は雪を見たことがない訳ではない。彼女にとって雪は珍しいものであり、どこかわくわくさせるものなのだ。
しかし、窓は外との温度差によって結露している。これでは外の様子がよく見えない。少し残念に思いながら、実葉は外へ出ようとする。もちろん、外は寒いと思われるので充分暖かいかっこうをして、だが。
その時、ドアの外から音が聞こえた。誰かが、実葉のいる部屋に近づいているようだ。今はそれほど早い時間帯ではないので、朝食が出来たということを誰かが知らせに来たのだろう。そう予想し、実葉はドアに近づいていく。あまり物が置かれていない、どこか広々と感じられる彼女の部屋。その前で、足音は止まった。その後、控え目なノックの音が聞こえ、実葉は返事をしてドアを開ると。
そこには、救助隊での大切なパートナーであり、一番仲のいい友人、炎里がいた。炎里は実葉に気がつくと、おはよう、と先程のノックと同じような控え目な態度で挨拶をする。それに笑顔で返すと、炎里もつられて微笑み、遠慮がちに一緒に外に出ないかと言った。
雪によって外に出ようと思っていた実葉は、肯定の意を示す。それに、炎里は嬉しそうによかった、と小さく呟いた。

玄関までは、2人とも無言であった。しかし外を出た瞬間、2人は同時に感嘆の声を上げる。
一面の雪原と、未だ降り続ける雪。目の前に、美しい銀世界が広がっていた。
「すごい、きれいだね……」
思わず呟いた実葉の言葉に、炎里はそうだね、と返す。
しばらく立ち尽くして銀世界に見とれていた2人だが、実葉はおもむろに歩き始めた。
ずいぶん積っていたらしく、一歩踏み出すと足首まで沈んでいく。そのことが面白いのか、実葉は楽しそうに歩みを続けていた。
雪の上を歩く実葉を暖かい思いで見ていた炎里だったが、ふと何かを考えて雪玉を作り始めた。
実葉がそれに気付いて炎里のもとへ近づいて行くと、何を作っているのかを訪ねる。炎里はその問に雪だるまを作ろうとしているんだ、と答えると、実葉はあたしも作ると言い、炎里と同じように雪玉を作り始めた。楽しそうに雪だるまを作る二人は、寒さに負けずにこの雪の日を楽しんでいる。そしてしばらくして、ひらひらと舞う雪の中に存在を主張するかのような大きさの雪だるまが二体出来ており、それを作った本人達は満足そうに家の中に入っていった。

雪の白さと今日の幸せ




微妙に、炎里×実葉。
なんか2人でほのぼのさせたかったのです。
私は、あまり雪が降らないところに住んでいるため、雪についての描写が変かもしれませんが・・・・・・。
ここまで読んで下さった方、ありがとう御座います。

20110324




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