包まれた姿



巨人化したエレンによって女型の巨人が吹っ飛び、教会を潰してしまう。

女型の巨人は壁に向かって走り出す。
ミカサとアルミンと私は合流して近くの屋根から女型の巨人を見ていた。
すると同じ調査兵団の仲間が立体機動装置で飛んでいるのが見え、声が聞こえた。
「ヤツは壁を越える気だぞ!ここを逃せば人類の敗北だ!」
「動きを止めろ!足を狙え!」

調査兵団の仲間が足に向かって飛ぶ。
それに気が付いた女型の巨人は振り返る。
「…やばい!気が付いてる!」
私は呟いて立体機動装置を吹かして飛んだ。
「ちょっと!なまえ!…ってミカサも!」
アルミンの声が聞こえて、多分きっと私と同時にミカサも立体機動装置で飛んだんだと思う。

女型の巨人が屋根を壊して調査兵団へと攻撃をする。
何人かの仲間に当たり、落ちて行くのが見えて私はそちらへと立体機動装置を飛ばした。

「大丈夫ですか!!」
私が声を掛けるが、その人は息絶えていた。
「……っ、間に合わなかった」
私は唇を噛み締めて、女型の巨人へと視線を向ければミカサが女型の巨人に攻撃をしているのが見えたため、そちらへと立体機動装置を再び吹かした。

「ミカサ!」
私はミカサの隣、屋根の上へと行く。
「いいぞ、ミカサ!次は視界の外から狙え!」
「はい!」
先輩の仲間に声を掛けられ、ミカサ返事をする。

「平地だ!!」
「だめだ、アンカーを刺す建物がねぇ」
「回り込むしか…」
「遠回りしていたら逃げられちまうよ!」
周りで調査兵団の仲間達が口々に言うのが聞こえた。

その時、エレンが女型の巨人に向かって走って行くのが見えた。
「エレン…」
ミカサの呟きが聞こえた。
「今回はうまく自分を保ってるようだね!」
立体機動装置でやってきたハンジさんとアルミンが私達の隣へとやってくる。
「エレンが時間を稼いでくれると信じよう」

「二手に分かれろ!何としても女型を確保せよ!」
ハンジさんの声が響き渡る。
その声に反応し、調査兵団の仲間が二手に分かれる。


まさか早々にエレンを諦めて逃げ出すとは思っていなかった。
だけど今はエレンと一対一…アニにとってはエレンを攫う最後のチャンスなのかもしれない。


私も二手に分かれて立体機動装置を飛ばす。
すると遠くから見慣れた姿を見つけた。
「…ジャン!!」
私がジャンの名前を呼べば驚いたような顔をして私を見つめた。
「……なまえ。お前…死んだんじゃ…」
私がこっちの世界へ帰ってきてるのは104期のメンバーはエレンとミカサとアルミンしか知らない。
「あ、そっか。…ジャンにはまだ伝えてなかったよね…。何かいろいろ心配かけちゃって…ごめんね。また後で説明する!…そっちの方は大丈夫だった?バレなかった?」
「あ…あぁ、何とかバレずに済んだ」
ジャンが少し戸惑ったように答えた。
「良かった。…アニがやっぱり女型の巨人だったの。今、エレンと戦ってると思う」
私はジャンを見て言った。
「やっぱりそうか…」
「行こう!アニが壁に登って逃げようとしてる!」
「…わかった!行こう」
私はジャンと共に立体機動装置を吹かした。



壁の傍まで来ると女型の巨人が壁を登ってる姿が見えた。
「な…あいつ巨人の姿のまま壁を登るぞ!」
「速い!このままじゃ逃げられる!」
ミカサとアルミンと合流して女型の巨人の姿を確認する。
「行かせない!」
ミカサは壁を登る女型の巨人に向かおうとする。
すると、後ろから巨人化したエレンがやってくる。
「ミカサ、待って!」
アルミンの声でミカサが振り返る。

「このままじゃ間に合わない!エレンがミカサを女型の巨人まで飛ばすんだ!」
アルミンの言葉にミカサは頷いて、エレンがミカサを手に乗せて飛ばした。

間に合って!!
私は傍で願うことしか出来なかった。
ミカサは届いたのか登ろうとしている女型の巨人の右手が落ちた。
そして続いて左手も落ちて、バランスを崩した女型の巨人は背中から落ちて行った。

それを巨人化したエレンが捕まえた。
「やった…」
私は小さい声で呟いた。

そしてうなじへとエレンが手を伸ばしてアニを捕まえようとした瞬間、光と煙に襲われた。
その瞬間アニが水晶体に包まれた。


「ちょっと…どういうこと?なんで水晶体なの?」
私は目を見開いた。
「分からない…一体何が起きてんだ?」
ジャンが隣で呟いた。



女型の巨人…アニは水晶体へと姿を変えてしまい、巨人のことは何一つ聞けなかった。
ただ、これから私は想像も出来ないようなことが起こることはまだ知らない。
不安が募る中、私はただ水晶体のアニを見つめていた。


………To be continued


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