いつも傍に



時間は少し戻り、捕獲作戦の朝……。

俺は目が覚め、いつものように着替える。
今日は女型の巨人を捕獲するための作戦実行日。
いつもの調査兵団の団服ではなく、スーツに着替えた。
エレンを王都へ連れて行くのをエルヴィンと共に同行するためだ。
着替え終えれば、そのまま部屋を出て隣の部屋のドアをノックした。

"コンコン"
「…はーい!ちょっと待って下さいね…」
ドアがゆっくり開けば彼女と目が合う。
「…やっぱりリヴァイさんだ。そんな気がしました」
ニッコリ笑う彼女に俺は安心したように言う。
「寝坊してるんじゃないかと思ったが…ちゃんと起きていたんだな」
「起きてますよ!今日は大事な日ですもん」
なまえの部屋へと入れば、近くのソファーへと腰を下ろした。
「リヴァイさんの格好、何かいつもと違うので変な感じですね」
「…似合わないか?」
「違いますよ!!…とても似合ってますよ」
少し頬を赤らめて言うなまえに俺は視線を逸らした。
「…そうか」
俺は小さく言って立ち上がり、なまえの横に立ち頭を撫でた。

「…今日は大変な日になると思う。俺もどうなるか分からないし、なまえも戦闘に出る。…女型の巨人を捕獲は簡単なことじゃない。今回も傍にいてやることができない。…悪いな。…もし何かあれば自分を守ることを優先しろ。……まぁお前にはそんなこと言っても無理かもしれないが…。無理だけはするなよ」
俺はそれだけ言えばなまえの頭から手を離した。
「……リヴァイさんもですよ。確かに傍にはいないかもしれないけど…私はいつもリヴァイさんと一緒にいるって思っています」
なまえはニッコリ笑って首にかかるネックレスを見せた。
俺はその姿に少し笑い、"そうだな"と呟いて自分も首にかかるネックレスを見せる。
なまえも微笑み、ネックレスを服の中へとしまった。
「…じゃ俺はエルヴィンの所へ行く。またあとでな」
"ポンポン"と彼女の頭を撫でてから俺はなまえの部屋を出た。


"いつも傍にいる"
あいつの言葉に少し微笑んで俺はエルヴィン達のいる場所へと向かった。



最初に馬車にエレン本人を乗せて、途中でエレンからジャンへと替わる。
無事に何とか憲兵にもバレることなくエレンとジャンが代わることができた。
今のところ、エルヴィンの作戦通りに進んでいる。


外が騒がしくなり、馬車が止まる。
俺はゆっくりと馬車から降りた。
「ナイル!…すぐに全兵を派兵しろ。巨人が出現したと考えるべきだ」
馬車から降りるとエルヴィンがナイルに向かって言った。
「な…何を言っている!ここはウォール・シーナだぞ!?巨人なんかが現れるわけない!」
ナイルがエルヴィンに向かって叫ぶとエレン(ジャン)が乗っていた馬車のドアが開き、変装したジャンが飛び出した。
「おい!待て!動くな、イェーガー!」
「変装ごっこは…終わりだ!」
エレンに扮して被っていたウィッグを取れば止めに入った憲兵が驚いたような声を上げた。
「うおっ!!」
「二度その名前を呼ぶなよ!」

ジャンは走ってエルヴィンの前で止まる。
「団長!俺も行きます!」
「装備は第4班から受け取れ!」
「了解!」
ジャンは調査兵団のマントを被る。

俺は少しため息をついてジャンを見た。
「威勢がいいのはいいが、死なねぇ工夫は忘れんなよ」
「はい!」
そう言ってジャンは走って第4班の元へと向かって行った。


「なっ…エルヴィンあれはどういう…」
「団長、これを!」
調査兵団の仲間が立体機動装置を持ってエルヴィンに渡した。
「ご苦労…。動ける者は全員続け!女型捕獲班に合流する」
エルヴィンは立体機動装置を付けて指示を出す。

「おい、エルヴィン待て!」
ナイルがそう叫んでエルヴィンに向けて銃口を向けた。
すると周りにいた憲兵達も同じように銃口を向ける。
「貴様のやっていることは王政に対する明らかな反逆行為だ!」
「…ナイル、てめぇの脳みそは薄ら髭みてぇにスカスカか?何が起きているか分からねぇらしいな」
俺はナイルを睨んで言う。
「装備を外せ、エルヴィン!」
ナイルは無視をして叫ぶ。


俺は深くため息をして煙が上がる方向へと視線を向けた。
もう女型の巨人は現れているはずだ。
捕獲作戦は始まったばかり、俺が怪我さえしなければ作戦に参加できただろう。

あいつが無事でいられるように…俺はそれを祈ることしかできない。
俺は拳を握り締めて、煙があがるのを見つめた…。





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