女型の巨人捕獲作戦



決行当日は天気は晴れていた。

王都へと招集されるエレンはとりあえず馬車へ乗り、途中で影武者となるジャンと代わることになっている。
アルミンはアニに協力を仰いで一緒に来てもらうようにするためにアニのいる場所へ1人で向かった。

リヴァイさんとは離ればなれ。
王都へ招集されるエレンと共にエルヴィン団長と一緒に行動している。


私とミカサはエレンとアルミンがアニを連れて来るのを待っていた。
今日の私達の格好は荷運び人という設定になっている。
荷運び人の格好なら立体機動装置を雨具で隠して見えないようにできる。
中々考えた作戦である。

しばらくするとエレンが影武者のジャンと代わったのか合流して、アルミンがアニを連れてやってきた。
とりあえずアルミンがアニを連れてこちらにやってきたことに安堵する。

アニはエレンとミカサを確認し、そして私へと視線を移せば驚いたように目を見開いた。
「…なまえ…も一緒なんだ」
アニは死んだはずの私がいたのに驚いたようだが言葉を飲み込み、何も言わなかった。
「うん、今日は一緒なの」
私は何事もないように答えた。

そして目標となる場所へと私達は歩を進めた。
「案外…楽に抜けられたな。ずっと馬車の中だったけど全然確認とかされなかった。さすが憲兵団様だ。日頃の仕事具合が窺える。あとは、影武者のジャンがバレなきゃいいが…ありゃそう長くはもたねぇよ…。アイツと俺全然似てねぇから…」
エレンの言葉に少し前を歩くアルミンが答える。
「大丈夫だって…!2人は体型が近いし、目つきが凶悪で似たような悪人面だから」
「俺はあんな馬面じゃねぇよ…」
アルミンの言葉に新底嫌そうにエレンが答えた。

「ねぇ…私が協力しなかったらどうやって壁を越えるつもりだったの?」
アニが聞くのをアルミンが答える。
「立体機動で突破するつもりだったんだ」
「…無茶じゃない?そもそもストへス区に入る前に逃げた方がこんな面倒も掛からなくて済んだはずでしょ?…何で今ここでなの?」
アニは結構突っ込んだこと聞くなと私は歩きながら思う。
それにアルミンは普通に返答する。
「ここの入り組んだ街の地形を利用しなければ替え玉作戦が成功しないと思ったからさ。真っ向から逆らって逃げるよりある程度従順に振る舞って警戒心を解いてからの方が逃走の時間を稼げるからね」
「…………。….そう納得したよ」
アニは静かにそう答えた。


しばらく歩くと地下通路へ入る階段が見えた。
「…あ!あった、ここだ!」
アルミンが足を止め、私達も足を止めた。
「………!ここ?」
アニが地下へと繋がる階段を見つめた。
「うん、ここを通る。昔、計画されてた地下都市の廃墟が残っているだ。これがちゃんと外扉の近くまで続いている」
アルミンが歩を進めて、私達も階段を降りる。
「本当か?すげぇな…」
「うん。地上を歩くよりはるかに安全だ!」
ふと私が後ろを振り返るとアニが階段を降りる手前で立ち止まっていることに気が付いた。

「…アニ?どうしたの?」
私はアニに声を掛ける。
「何だお前…まさか暗くて狭い所が怖いとか言うなよ?」
エレンがアニを見つめて言う。
「…そうさ。怖いだ…あんたみたいな勇敢な…死に急ぎ野郎にはきっとか弱い乙女の気持ちなんてわからないだろうさ」
「…大男を空中で一回転させるような乙女はか弱くねぇよ。バカ言ってねぇで急ぐぞ!」
エレンはそう言えば階段をまた1段降りる。

「…いいや、私は行かない。そっちは怖い…。地上を行かないんなら協力しない」
私は静かにアニを見つめる。
「な…何言ってんだてめぇは!?さっさとこっちに来いよ!ふざけてんじゃねぇ!」
エレンは振り返って大声で叫んだ。
「エレン!叫ばないで!」
「大丈夫でしょ?ミカサ」
アニの言葉にミカサがアニを見つめた。

「さっきからこの辺にはなぜか全く人がいないから」
アニの言葉に私は息を呑んだ。
そう…私達の作戦、もうアニは気が付いているのだろうか。

「…全く…傷つくよ。一体…いつからアルミン…あんたは私をそんな目で見るようになったの?」
アニは静かに言えば、アルミンは少し震えているのか持っている煙弾が音を鳴らす。
「アニ…何でマルコの立体機動装置を持っていたの?…わずかなキズや凹みだって…一緒に整備した思い出だから…僕には分かった」
「そう…あれは…拾ったの」
アニが静か答えればアルミンが声を上げる。
「…じゃあ生け捕りにした2体の巨人はアニが殺したの?」
「さぁね…でも1ヶ月前にそう思っていたなら、何でその時に行動しなかったの?」
アルミンは震えながらアニを見つめて言う。
「…今だって信じられないよ…。きっと、何か…見間違いだって思いたくて…。…でも、アニだってあの時…僕を殺せなかったから今、こんなことになっているじゃないか…」
「……あぁ、新底そう思うよ。まさかあんたにここまで追い詰められるなんてね。あの時…何で…だろうね」

「オイ…!アニ…お前が間の悪いバカでクソつまんない冗談で適当に話を合わせてる可能性が…まだあるから……。とにかくこっちに来い!!この地下に入るだけで証明できることがあるんだ!こっちに来て証明しろ!」
エレンが我慢の限界が来たのか叫んで言った。
「…そっちには行けない。私は…戦士になり損ねた」
「だから…!つまんねぇって言ってるだろうが!」
「話してよアニ!僕達はまだ話し合うことができる!!」
エレンとアルミンが声を上げて言う。
私は何も言えずその場で静かに見上げてた。

「もういい!これ以上聞いてられない!」
突然ミカサが言えば被っていたフードを取り、雨具を脱ぎ捨てた。
そして立体機動装置から刃を出した
「不毛….もう一度ズタズタに削いでやる…女型の巨人!!」
ミカサの言った言葉にアニが怪しく笑うのが見えた。

その顔に私は恐怖を覚えた。
これで私の気持ちは確証へと変わる。

女型の巨人は…アニって…。




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