真実が知りたい



俺はその場を去っていくリヴァイ兵長の背中を見つめながら唇をただただ噛んだ。
目の前でグンタさん達が女型の巨人に殺されたと思ったらなまえまで……。
俺がなまえより先に巨人になっていればなまえは死なずに済んだかもしれない。
俺の判断は間違っていた………。


「…さっき、兵長が言ってたことどう思う?」
俺の横でアルミンが呟いた。
「……でも俺は見たんだ。なまえが女型の巨人に地面に落とされる所を…。あの高さから落とされれば確実に…」
「…でも遺体はなかった。……残されたのは立体機動装置だけ…」
ミカサが眉を寄せて呟いた。
「…それにリヴァイ兵長が言っていた言葉が気になる。俺達とは住む世界が違うってどういう意味なんだろう」
アルミンの言葉にみんな黙り込んだ。
「なまえは私達より半年遅れて訓練兵に入ったんでしたよね。あの時は特に何も思いませんでしたけど、今思うとおかしいですよね」
サシャの言葉にコニーが頷いた。
「確かにそうだったな。普通は遅れて入るなんてことはないもんな」
「なまえには何か事情があるのかもしれない。…壁外調査へ行く前に僕、なまえと話したんだ。あの時の独り言って言って喋ったんだ。"私達が出会ったことない巨人に遭遇する"って。その言葉通り、女型の巨人が現れた。……もし、もしもだけどなまえには未来が見えていたとしたら……」
アルミンの言葉にみんながアルミンに注目する。
「……アルミンが言ってることが仮に本当だとすると…なまえは…辛かったんだろうな。未来が見えるってことは大型巨人が襲ってきた日のことは知っていたはずだ。…マルコが死ぬことも知っていたんだろうな」
ジャンが呟いた言葉に"はっ"としたようにコニーが言った。
「そういえば俺、なまえと同じ班だったけど"マルコが危ない"って突然言い出したんだ。あの後本当にマルコが死んだ。ヒントは隠されてたんだ…。俺達が気付かなかっただけで…」
「…っくそ!もっと早く僕達が気付いていたら…。あんなにずっと傍にいたのに…」
アルミンが悔しそうに唇を噛んでいた。
俺はアルミンの肩に手を置いて首を振った。
「…まだこの話は仮にの話だ。明日、リヴァイ兵長に聞こう」
黙って聞いていたライナーとベルトルトは頷く。

「僕とミカサはエレンとここに残るよ。コニー達は宿舎に戻ってて!」
アルミンが言えばコニーが大きく頷いた。
「おぉ!分かった。じゃまた明日な!」
「エレン、ゆっくり休んでね!」
クリスタが微笑んで言った。
コニー、ジャン、ライナー、ベルトルト、サシャ、クリスタ、ユミルはそのまま馬を走らせて宿舎へと帰って行った。


俺とアルミンとミカサで古城へと戻る。
「エレン、私に掴まって」
「大丈夫だから!」
俺はミカサを払い除け、部屋へと戻る。
キッチンの方からリヴァイ兵長とハンジさんの声が聞こえたが、何を話しているかまでは聞こえなかった。



なまえは俺の目の前で女型の巨人によって殺された。遺体が見つからないと言ったリヴァイ兵長の言葉、そして住む世界が違うという言葉。
アルミンの言う未来が見えるという話。
……真実が知りたい。

途中からやってきたなまえは不思議な奴だと思っていたけど、なまえがいれば周りが明るくなっていた。本当に昔から仲が良かったような錯覚さえしていた。………死んだなんて考えられない。
もし、なまえが生きているならもう一度会いたい。

あの笑顔で周りを明るくしてくれ!!




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