女型の叫び



俺は部下達に馬を預けて、さっき捕らえた女型の巨人がいる場所へと立体機動で向かった。

女型の巨人が捕らえられた場所へ着けば、エルヴィンを探す。
木の太い枝の所にエルヴィンがいるのが視界に入り、その横に並んだ。
「動きは止まったようだな」
「まだ油断は出来ない。しかし、よくこのポイントまで誘導してくれた」
「後列の班が命落として戦ってくれたおかげで時間が稼げた。あれがなければ不可能だった」
俺は女型の巨人を見下ろして言った。
「そっか」
「そうだ。……彼らのおかげでこいつのうなじの中にいる奴と会える。…中で小便漏らしてないといいんだが…」
俺は女型の巨人を睨んだ。


着々とまたアンカーを撃つ準備が進む。
完了の指示が出たのか下にいる奴らから伝言が回ってきた。
エルヴィンはそれを聞き指示を出す。

「撃てーーーっ!」
エルヴィンの合図と共にまた大量のアンカーが女型の巨人のお尻辺りに刺さる。

俺とミケは剣を構えてうなじを隠す手に向かって立体機動で飛ぶ。
手を剣で削ごうとしても手が硬質の皮膚で覆われるため剣が折れてしまう。
手に傷一つ付けることができない。
「………っ、くっ…」
俺は女型の巨人を更に睨んだ。

そして女型の巨人の頭の上に乗る。
「おい、いい加減出てきてくれないか?こっちはそんなに暇じゃないんだが…。なぁ、お前はこれからどうなると思う?お前はこの状況から抜け出せることができると思うのか?こっちの迷惑も少しは考えて欲しいものだ。…お前は確かいろいろなやり方で部下を殺していたが、あれは楽しかったりするのか?……俺は今、楽しいぞ。なぁ、お前もそうだろ?お前なら俺を理解してくれるだろ。……そうだ、1つ聞きたいことがあるんだ。お前の手足を切断しても大丈夫か?また生えてくるんだろ?お前自身の本体の方だ。死なれたりしたら…困るからな…」
剣を握り直した時だった。

「うおっん!」
「………!?」
俺は女型の巨人がいきなり喋ったことで頭が揺れて驚いた。
その時だ。
「うおおおおおおおぉぉぉっ!!」
突然女型の巨人が大声で叫びだした。
それはすごい大きな声、未だこんなに大声で揺れたことはないだろう。
俺は思わず耳を塞ぐ。
周りの連中もみんな同じように塞いでいる。

その叫びは何秒程だろうか…長かったような短かったような…。
そして静かになる。
「……てめぇ、びっくりしたじゃねぇか」


すると遠くからドタバタと巨人が走ってくる音が聞こえてきた。
「リヴァイ兵長ーっ!!」
部下の声が聞こえた。
「おいてめぇ、さっき何かしやがったな……」
俺は女型の巨人の頭を何度も踏みつけた。

俺は向かってくる巨人3体を見れば剣を構えて一気にうなじを削いだ。
しかし、周りから巨人がどんどんやって来る。

「全包囲から巨人出現!!」
叫び声がする。
「全員、戦闘開始!女型の巨人を死守せよ!」
エルヴィンの声が聞こえた。
その声で一斉に周りの部下達が女型を守ろうと巨人達の倒しにかかる。

俺は何度も何度も巨人のうなじを削ぐが女型の巨人の周りには何体も群がっている。
削いだところでキリがない。


「総員撤退!!」
エルヴィンの声でみんなが巨人から離れる。
「陣形を再展開!カラネス区へ帰還せよ!」

俺達が離れて、巨人はどんどん女型の巨人に群がっていく。
女型の巨人を食べているのだ。

「………やられたよ」
エルヴィンは静かに言った。
「なんてツラだ…てめぇ…それは、」
「時には、全てを捨て去る覚悟があったってことだ。まさか自分ごと巨人に食われて情報を抹消するとは……」
「審議所であれだけ啖呵切った後でこのザマだ。このままノコノコ帰ったらエレンも俺達もどうなることか…」
「帰った後で考えよう。今はこれ以上損害を出さずに帰還できるように尽くす。…今はな」
俺は女型の巨人を真っ直ぐ見ているエルヴィンをチラリと見た。

「俺の班を呼んでくる」
俺は立体機動で部下達が待っている場所へ行こうとした時だ。
「待て、リヴァイ!ガスと刃を補充していけ」
「……時間が惜しい。十分足りると思うが?なぜだ?」
俺はエルヴィンを見ながら聞く。
「命令だ。……従え」
「…了解だ、エルヴィン。お前の判断を信じよう」
俺はエルヴィンを見ながら言った。
きっとエルヴィンには思うことがあるはずだ。
そうじゃなかったら俺にそんなこと言うはずがない。

俺は急いでガスと刃の補給に向かった。
「あれ?リヴァイ、なんでガスの補給なんてしてるの?」
後ろからハンジに声を掛けられて俺は振り向かずに答える。
「エルヴィンからの指示だ」
「へぇ…。時間もないんだから急いでやりなよ!」
ハンジはそう言えばそのまま行ってしまった。


俺はこの時胸騒ぎがした。
俺の部下達に何か起きるような気がする。
なまえのことも心配だ。
早くあいつらの元へ行かなくてはならない。

俺はガスと刃の補給をし終えると急いであいつらがいる場所へと向かった。




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