企画彼女が寝ていたらに参加しました。



「次のテストの為に早めにテスト勉強をします!」
「はあ!?なんっでだよ!!」
「今やっておけばテスト前に苦労しないよ?試合も出られるよ?」
「ぐっ………」
「というわけでこことこことここ。まずやってみてね」


にっこり。


目の前に立つ俺の彼女は数学の教科書を差し出して悪魔の笑みを浮かべた…。











土曜日の練習は部活が午前中で終わる。
そのため午後には彼女である名前が俺の家に来ていつもダラダラしていくか買い物に出かけるのだが今日は違った。

勝手知ったる俺の鞄から教科書とノートを数冊取り出して昼飯を食べ終わった俺の前にバーンとだしてきたのだ。ちなみに教科書もノートもめったに開かないため折癖もついていないきれいなまま。


「ねぇ大我君?」
「なんだよ」
「昨日の授業…というかここ一週間、授業殆ど寝てたよね?」
「………yes」
「うんじゃあ今から今週の授業の復習しようか」
「嫌だ!!」


何が始まるのかと思えば案の定名前の形の良い唇から「復習」なんて勉強の単語が飛び出てきた。
昼飯を食べ終わって満腹感で幸せになっていたのに何たる仕打ちだ。
このまま嫌で嫌で仕方ない勉強にもつれ込むなんて絶っっっ対に嫌だ。

しかし、俺が馬鹿で名前の方が頭がいいのはどうやっても覆る事は無く。


「テスト一ヶ月後だよ?」
「まだ大丈夫だろ!」
「こんどのテストマークシートじゃなくて記述式だけど」
「うっ………」





「一か月で今期の範囲一人で勉強できる?」
「でき………ねぇ、です」





結局俺は言いくるめられる。











「…くっそ、わっかんねー……なぁ名前、ここ…お?」


教科書とノートと名前が俺用に作って持ってきてくれていたノートとにらめっこしながら唸ること数時間。
気がつけば外は明るい青空からうっすらオレンジがかった夕方にさしかかった空になっていた。
そりゃあそうだ。名前が作ってくれたノートは以前のテストの復習も踏まえつつ、ここ最近の数学の内容も入っていてそれなりに問題数も多く、馬鹿な俺には一つ一つ解いていくのに時間がかかる。ついでに教科書の問題も復習のためにここ一週間の授業でやったものを何回もやらされた。
問題がわからなくて詰まった時名前は教えてはくれるが直ぐに教えはせずまず俺が考える時間を与えるため更に時間がかかったのだ。

そんで数学の最後の方の問題で再び解らなくなって何度目かのヘルプを名前にした。ら。


「…寝てやがる」


机に突っ伏してうっすらと上下する背中。手を回りでヒラヒラとふってみても全く反応する気配が無い。完璧に寝ている。
思えば、勉強を始めた時の悪魔の笑みの目元には薄くクマができていた。
多分この俺用ノートを作ってくれた時に夜更かししたのだろう。
勉強は嫌だが俺の為にここまでしてくれている彼女には自然と頭が下がる。


俺のために頑張ってくれた名前に俺が出来ることは何か。パッと頭に浮かんだ。


時計を見上げれば16時30分。
そろそろ晩飯の仕込みをしてもいい時間だ。

よし、今日は名前の好きな飯でも作って腹いっぱい食わしてやろう。
そんで明日は日曜だから寝坊するぐらいぐっすり寝かして、めいっぱい甘やかしてやる。
そうと決まれば仕込みの準備だ。


寝ている名前を起こさないようにそうっとリビングのローテーブルから離れて寝室に毛布を取りに行く。
戻ってきて起こさないように優しくかけてやればちょっと唸ってまた眠りの海に潜っていった。

脅かすなよ…起きたと思ったじゃねぇか全く…。

柔らかなさわりごこちの髪の毛をひとなでして腕を振るうためにキッチンへ足を向けた。



大切な人の為に出来る事。




「Dear my good morning」
「…お腹すいた」
「飯出来てるぜ」
「流石大我君!愛してる!食べたらまた勉強ね!」
「今日はもういいだろ!?」
「ちゅーしてくれたら免除してもい……」
「…これで免除な!」
「…やられた」