私が死んだらまず始めに笑顔でさよならと言ってね

泣くんだったら、私に見えないように泣いてね

私が死んでも、葬式は開かないでね

私が死んだらなるべく誰にも言わないでね

私が死んだら、先生の隣に埋めて欲しいの

私が死んでからは、皆で仲良くしてね


死ぬ前にその銀色の髪にもう一度触れればよかった

死ぬ前に銀時にもう一度「愛してる」って言えばよかった

死ぬ前に銀時を思いっきり抱きしめておけばよかった

死ぬ前に特大のパフェを作ってあげればよかった

死ぬ前に銀時の我侭を全部聞いて、叶えてあげればよかった


死ぬ前にもう一度触れてほしかった

死ぬ前にもう一度「愛してる」と囁いてほしかった

死ぬ前にもう一度抱きしめてほしかった

死ぬ前にもう一度一緒にパフェを食べたかった

死ぬ前にもっと銀時に甘えておけばよかった。


死ぬ直前に気づくなんて、どうかしてるね



「馬鹿、死ぬ訳ねえだろ」

「ぎ…と、き」

「馬鹿、喋んな」

「あ…し、あたし、ね…」

「おい、」

「ぎん…きに」

「なあ…」

「幸せに…なって、ほし、い…よ」




これから夏になったらダルそうな銀時を連れて海に行ったり花火大会に行ったりバーベキューをしたり肝試しをしたりするつもりだった。秋になったらもみじ狩りもいいかもしれない。秋はおいしいものが沢山あるから銀時にたくさんの料理を作ってあげたりするつもりだった。冬になったら二人でくっついて温まったり、雪だるまを作ってあそんだりするつもりだった。次の春にはお花見にいったり、まだまだすることは沢山ある。その他にも先生のお墓参りにいったり、終戦日には死ぬほどお酒をのんで、暴れて、翌日に二日酔いでふたりで倒れたり、結婚式したり。銀時のタキシードはきっと格好いいんだろうな、銀時の正装なんてこれっぽっちも想像できないけど、きっと、絶対かっこいいんだろうなあ。見たかったなあ、そんなカッコイイ銀時の手を握ることができるのは、もう私ではないんだよ。私の知らない、別の女の子。きっと銀時の顔がだらしなくにやけちゃう位可愛くて、いい子で、銀時に愛されてる子。ああ、こうなる位だったらもっと早く結婚式しちゃえばよかった。思い出を作っておけばよかった。銀時が私を忘れられなくなるくらい。たくさん思いでを作ろうって、約束したよね。約束、したのにね、もう私じゃあできないんだ。約束破って、ごめんね。


サイハテ



「馬鹿、お前以外の誰が俺を幸せにできるんだよ」


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