誰にも頼らない
架空の存在

わたしの、王

決して折れない
儚い花




数日、晋助に
会っていなかった
よくあることだったが
無性に顔が見たくなった
晋助の部屋に行く途中
また子に止められた
「いっちゃだめっス」
なぜだか
悲痛な顔をしていた
そんなこと言われたら
見ないわけには、
行かなくなってしまう。

襖をあけた
瞳に飛び込む
リアルな映像

真赤に塗れた布団
荒い息。
その中心にうずくまる
のは、

「晋助…?」

すこしばつが悪そうに
視線を動かす奇麗な顔
それに伴って動く
艶やかな髪。

「なんでも…ねェよ」

晋助が、なんでもない
って言ってる。

(私に言わなかったのには
 理由があるはずだ)

追求しちゃいけないのは
解っていた。
晋助の心の底にある
何かを触ってしまうと、
わかっていた。

それでも
口は勝手に動いた。
止まれと、
頭の中で何度も叫んだ
体は言う事を聞かない

「しんす、っ」

ああ
僅かに揺れる瞳孔
折れてしまうのかと
思うくらい
きつく掴まれた手。

掴まれた手の、冷たさで
世界が凍ってしまいそうだ。







絶対の花は
萎れて
枯れてしまうらしい

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