すん、鼻を啜ると視界が翳んだ。泣きたくなんかない、のに。銀時を困らせたくなんかない、のに。

「泣くなよ」
「…ごめ、んっ」

どうやら銀時、は戦争に行ってしまうらしい。銀時が死ぬなんて有り得ないと思うし、桂に晋助に坂本までいるのなら絶対に大丈夫だ。でも、やっぱり不安な心は誤魔化せない。

ぽろりぼろりとだんだん粒を大きくしていく涙は、私の心も銀時の心も苦しめた。嫌、だ、よ。

「…俺、この戦争が終ったら、してェことがあんだよ」
「……ん、」
「なんでも屋開いて、沢山人助けして。今まで俺が犠牲にしちまった奴等の、罪滅ぼしとは言わねェが。」
「そっか…」

良い夢だ。銀時らしくて、とっても素敵。
そういうと銀時は嬉しそうに目を細めた。ああ、堪らないくらい愛おしい。ずっと、傍に居たい。

「…だから、なんだ」
「え?」
「その…お前に、やってほしいんだよ。何でも屋の美人女将」

それってまさか、と口が回る前にぎゅう、と抱きしめられた。そっか、そうだね。辛いのは私だけではない。ふたり、だけじゃなくて桂も晋助も坂本も、みんな辛いんだね、寂しいんだね。

「待ってる…銀時が迎えに来てくれるのずっと待ってる」
「あァ」
「だから、それまで」
「…あァ」

左様なら
さようならば、これで別れましょう

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テーマ「人外ファンタジー」
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