感情が顔に出ない人は嫌いだ。本心を隠して笑ってる人はもっと嫌いだ。私はあの人が大嫌いだ。とっとと死んでしまえば、いいと思う。それか、なんだかんだ嫌がっても結局やってしまう危険な人助けとかで、死んでしまえばいいと思う。いつ死んでも可笑しくないような、寧ろ生きているのが不思議に成ってくるような場所へ自ら行くあの人が、私は大嫌い。嫌い嫌い、キライ

「きらい」

私の声はしんと静まり返った部屋にぶつかって、響いて、消えた。私のきもちも、涙も、心の壁にむつかって消えてしまえたらどんなにいいだろう。あの人はどんなに辛くて、悲しくて、哀しい時でも絶対に泣かなかった。私に弱みを見せないあの人が、私に心を赦していないんじゃないかと思っていつもいつも哀しかった。その度に私は泣いてしまっていた。嫌いだ。最期まで他人のために命を削って、イヤだ嫌だと言いながらもきちんと仕事を、するべきことを全うした、あの人が、私は大嫌いだ。


音速
音速で遠ざかるあの暖かい日々


あいつは結局私に一度も涙を見せることなく、行った。とおい、遠い空へ。私の望んだ事のはずなのに、中身のない身体に触れると冷たくて、本当に逝ってしまったのだと理解せざるを得なかった。死体に付いた涙の痕。ああ、なんて愚かなんだろう。


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