佳主馬は中学生。ほかの多くの中学生と同じように、佳主馬には好きな異性がいた。彼女はいつもひとりでいる。人間関係の不和、ましてやいじめなどといった理由で孤立しているのではなく、彼女はひとりを愛しているらしい。かと言って他人を毛嫌いしている訳でもなく、話しかけてみれば朗らかに笑う、不思議な少女だ。
佳主馬は彼女が好きすぎて、たまに自分の心の始末をつけられない夜があった。そんな時は無理やり布団にもぐって、固く目を瞑るのだが、なかなかこれがうまくいかない。
むしろたくさん彼女のことを思い出したり、考えたり、妄想してしまって、佳主馬は爆発してしまう。
最近はクラスメイトに教えてもらった「男だけのスッキリする方法」でその場を誤魔化すことにしている。しかし、これはなんだかザイアク感を感じる方法で、佳主馬は途方に暮れていた。

「どうすればいいのかな」

佳主馬はカズマにごちた。しかし、彼の分身である彼に、彼にわからないことがわかるはずがなく、カズマはその立派な体躯にふさわしくない、首をこてんと傾けたポーズで主人をみつめるだけであった。

ふっと、画面の端にあるメールボックスを見やる。クラスに彼女のアカウントを知っている人はどれだけいるだろう。佳主馬は彼女が自分だけにアカウントを教えてくれた事を知っていた。皆言っているからだ。あの子のアカウント知らないやって。
佳主馬はそのことを思い出すたびに、うれしさや好きという気持ちでいっぱいになる。このなんとも言えない不思議な幸福感を、人々は恋と呼ぶのだろう。そして佳主馬はまた、彼女にぴったりなかわいいアバターと、彼女の肩につくくらいの柔らかい髪を思い出し、また好きという気持ちをティッシュに吐露するのであった。

カズマはそれを、まったく純粋な瞳でみつめていた。

ドラジェな生活




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