ばかばかしい
「今度の休みに友達と泊りで遊びに行ってくる、かも」
「だめでさァ」
テストが終ったら皆で遊びに行こう。まあ、割とよくある話かもしれない。それじゃあ一応彼氏に了解も得ておこう。よくある話だ。返事がダメって、それはないでしょ。
「…なんで」
「ダメなモンはダメなんでさァ」
真意を酌みとれなくて、表情を伺うけど、沖田の様子にいつもと違うところはない。
「いいじゃん。女の子だけだよ」
「アンタもう1回スカート折ったらどうですかィ」
「え、なに急に」
「その方がビッチっぽくて好きで」
まあそれでも、沖田が喜ぶなら明日からでももう一回折ってみよう。なんだかんだいいつつ私たちの仲は良好。
「お母さんもお父さんもいいよって言ったのに。」
「残念でしたねィ。諦めな」
「ねえそうごぉー」
「あーはいはい。カワイイカワイイ」
むかつく奴だ。前言撤回。私たちの仲は壊滅的。
「どうしてダメなの」
「自分で考えてみなせェ、次の土日は?」
「え?…次の土日って」
あ、
「あ…」
「やっと思い出したかクズ」
「ああ…そっか、」
「ったく、普通こういうのはお前が覚えてる役目だろィ」
「うん、そうだよね、ごめ」
「ばかばかしいったらねェな」
ばかばかしくなんかないさ、さあ笑ってごらん
「ごめんね」
「もう行くなんて言わねェだろィ?」
「うん。覚えててくれて、ありがとう」
「当然でさァ。なんたって俺は、お前の彼氏様サマなんだからねィ。拝んでもいいですぜ」
「南無南無」
こんなことがあった次の土曜日の夜、友達には謝って、沖田と遊びに行った。そこで指輪を貰った。シンプルなデザインの、沖田らしいセンスの光るものだった。「おめでとう、一周年」「忘れてた奴が言うんじゃねェよ」