どうしてわからないんだこんなにもぼくはがんばっているのに



毎回この部屋に帰ってこれるメンバーで、一番の新入りは恐らく私。玄野さんや加藤さんとはまあまあうまくやれています。しかし私は、何故か絶対的に西くんに嫌われているのです…。

「あんだけ走り回ッといてたッた4点?ダッサ」
とか
「あーあ、このまま腹引き千切られて死ねばよかったのに。残念」
とか
「アンタと俺が組むとかマジ勘弁。つか足手まといにしかならないし、ちんこおったち男君のほうが数億倍マシだから」
とか、彼はとにかく私に対して辛辣です。全部最後にwwwとかプギャーとか付きそうな勢いです。

「嫌なことした覚えも…うーん、西くんの嫌なことってよくわからないから…自信ないなあ」
「だったらそれは俺たちも同じだよ、お前にだけああいう態度とるのはおかしいと思う」
「うーん…」
「お前程西のこと好きな奴も居ないと思うけどなあ」
「スキっていうか…否定的じゃないだけでしょ」
「まあ、そうとも言う」

玄野さんはそこまで私の相談に乗ったところで「あっタエちゃんからメールだッ」とガンツ部屋を後にしてしまった。
深く溜息を吐く他ない私。ガンツ部屋にひとりでいる理由もないので、そのまま部屋を後にした。

どうすれば、仲良くとまではいかずとも西くんと普通程度の付き合いができるようになるだろう…

そんなことを考えてる時点で、もう西くんに嫌われるのには十分なのかもしれない。そう思うと、更に深い溜息を吐かずにはいられなかった。
多分、西くんは私よりも2、3コ年下。つまり中学生…くらいだと思う。年下の男の子にこんなに悩まされる私って…。


その次の夜。今日はないかなと見切りをつけてパジャマに着替え布団に入った瞬間に身体が移動しはじめた。やだなあ、慣れないなあ。この感覚。戦闘後は速く来てほしくてたまらないけど、行くのはどうも嫌。原因のひとつが西くんであることは否定できない。


そして、事は起こった。

ステルスをしてる私。目の前に転がる西くん。その奥にいる星人。たぶん、西くんも星人も私の存在に気付いている。

「ハ…突ッ立ッてる暇あッたら、早く、アイツ倒せよ」
「うん…私もそうしたいんだけど…」

そしてやはり当然のように話しかけられる。私も馬鹿馬鹿しくなってステルスをといた。だけど、そこから動くようなこよはしない。今動いたら確実に仕留められる。
どうしよう。私が星人とにらみ合っていると、西くんはそれ以上なにも言わなかった。私の足元でゼエゼエ喘いでいる。
私と星人の間の緊張の糸が最大に張り詰めた、その時

「馬鹿逃げろッ」
「うおあっ!?」

思い切り西くんに膝カックンをきめられ、転倒。ただでさえ死にそうな西くんの上に倒れることはできなかったので、ガンツソードをつっぱり棒にしてなんとか耐える。「なにするんです!」「同情なんかしてる暇あッたら、早くどッか行けッつッてんだよ!」「ハア!?」「早く!!」なんで西くんはそんなに必死になっているのか。そう疑問に思った瞬間、脛に強烈な衝撃が走った。

「くッ…!うしろから…!?」
「だから言ッたんだ!もともとアンタじゃ無理な相手なんだよ!それに付け加えてその足でどうやッて戦う気だよ!やっぱりアンタ馬鹿だな」
「う…ごめん。でも…」

四方八方から放たれる星人の攻撃を集中して受け止めて払う。踏ん張るだけで凄く痛い。血がだらだら流れていく感覚が分かる。痛い痛い痛い痛いいででででででででででで!!

「にッ西くん!!痛いッ」
「なんで俺の言ッてることがわかんねェんだよ!どっか行けって言ッてんの!跨ぐんじゃねェ!」

西くんが余力で私の深く切りつけられた脛の傷を爪で引っかく。

「アタシが居なきゃアンタ死んでんでしょうが!」
「余計なお世話だ!同情なんかいらねェッつッてんだよ!死ね!」
「それが年上に対する態度なワケ!?」
「お前こそ俺が居なかッたらとッくに死んでんだろーが馬鹿!」
「じゃあ私がアンタのこと助けたっていいじゃない!それくらいわかれアホ!」
「あのー…お二人さん。もう転送はじまってるんですけど」

言い合いに夢中になっている内に、なんと玄野くんが星人を倒してくれたらしい。ハッと自分の身体を見るともう首あたりまで転送は終っていた。西君はまだ足の辺りしか転送されてないからちっとも気付かなかった。

「チッ…」
「にっ……に、西くんなんか嫌いだあー!」

先に顔まで転送された私は、もう混乱してよくわからない頭をつかってそう叫んだのだった。

「西…お前、もうちょっと素直になったら」
「うるさい死ねちんこおったち男の癖に俺に指図するなアホギョーンするぞ死ねこの糞野朗…」
「さっきの言い合いでいろんなこと言ったよね、逃げろ、とか普通言わないじゃん。あと、暗にいつも助けてること言っちゃったよね」
「…………死ね」
「若いなー」
「うるせェ!」

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