「あっ」

そう、それは、どこにでもあるような退屈な昼下がり、どこにでもある居間で始まった。


暇なら恋愛しませんか




俺の部下、正確に言うと屯所に住み込みで働いている女中兼(俺がやらなかった分の)書類整理担当の奴。多分この屋敷に出入りする唯一の女。
女の足元には散ばった花。濃いピンクの花弁が一枚俺の煎餅の近くまで飛んできた。それだけのこと。
「あー、落としちゃいました。可哀想に」
「テメーが落っことしたんだろィ、あーあ、こんなガサツな女に扱われて可哀想に」
「…少なくとも屯所の殿方よりは器用で几帳面です。」
「は、どうだかねィ」
完全に暇つぶし、もしくは気まぐれ。やめておけばいいのに、俺は女から花を奪った。

「花ってのは、こうやって生けるんでィ」

地味な花瓶に、派手な花はよく映えた。久しぶりにやったもんだからすこし不恰好だ。だけど女はそんなことは露ほども気にしない様子で俺の生けた花を見つめている。
「す、凄いですね。どこで覚えたんですかこんなの」
「…フン、テメーにンなことまで教えてやる義理はねェ。さっさと自分の仕事に戻りな」





Catharanthus(カサランサス)は、ギリシャ語の「katharos(純粋な)+ anthos(花)」が語源。

・西インド原産。
・梅雨の頃から秋まで咲き続ける。
・日々新しい花に咲き代わることからこの名前になった。また、それぞれの花は1日花ではなく3〜5日はもつ。
・日照りや乾燥にも強い。
・別名 「日日花(にちにちか)」
・7月8日、9月17日の誕生花
・花言葉は「生涯の友情、優しい追憶」
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