「くさっ何コイツ超くせーんですけど!」
「ベトベトンに酷いこと言わないで下さい!」
「元居た場所に返してきなさい」
「やだ!」

朝起きても銀ちゃんが寝ていたから、暇つぶしに散歩に行った。いつもと違う場所に行きたくて、ふと目についた細い路地をまがってみた。そしたら、少し恐そうな天人商人さんが、私に赤と白のボールをくれた。身振り手振りで使い方を教わって、中から出てきたのは紫色でゼリーみたいなこのベトベトン。なんだか運命を感じた私は、嬉々として家に帰った。銀さんに見てもらいたかった。"私が見つけた"ってことを、銀さんに褒めてもらいたかった。

「…という訳です」
「あー…そうかよ」
「しかし銀さんの反応に私は激しく傷つきました。折角できたお友達を臭いなんて…!」
「え…お、おい」
「もうこんな家、出てってやるう!」

私はベトベトンと共に駆け足で万事屋を飛び出した。背後に銀さんが慌てて物にぶつかっている音が聞える。私はそれを聞いてほくそ笑んだ。つまり、上機嫌なのである。久しぶりに銀さんと遊ぶ口実ができた!

「待てええええ!」
「いやああですううう!」

銀さんが全速力で追いかけてくる。そんな本気になるなんて思ってなくて、私はぎょっとしてしまった。そのせいでスピードが一瞬ゆるんでしまい、その隙を逃す筈も無く銀さんは私のボールを持っているのと反対の手を掴んだ。

「……」
「…っはあ、はあ」

しかもこの男、まったく息を乱していないのである。
身の危険を感じた私はベトベトンに目配せする。出会って小一時間とは言え、私とベトベトンの間には確固たる絆が芽生えていた。さあ捕まえたぜ覚悟しろよヘッヘッへとでも言いたげな顔の銀さんを一瞥して、天人商人さんに教えてもらった呪文を唱えた。

「かなしばり!」
「!?か、身体が…っ!?」

ベトベトンちゃん(メス)はどうやら不思議な術が使えるらしい。(銀さんのような)変種津者に合ってしまった時もベトベトンちゃんが居れば安心だ。銀さんが固まって動けなくなっている隙に私は銀さんから離れ、ベトベトンちゃんの横に立った。変なポーズでこっちを焦った表情で見ている銀さんの顔を指差して私は叫んだ。

ヘ ド ロ こ う げ き !

こうかは ばつぐんだ!

「おほほ!つかまえてごらんなさい!」
「くっせええ!くそっ覚えてろよ…」


▼ベトベトンの覚えているわざ(わざマシンあり)
かなしばり
ヘドロこうげき
メロメロ
はかいこうせん
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