このワールドに、彼を知らない人はいない。ぴんと伸びた白い耳と、くっきりした目。引き締まった身体によく似合う赤のベストとゴーグル。そして常にあたりに自己主張しているベルト。道を歩けば10人中10人が振り返る。私の自慢。
「カズマ」
彼は、私にキングと呼ばれるのを嫌がった。なんとなくわかる気がしたから、追求はしない。カズマは暇そうに草を咥えてぼーっと立っていた。彼のマスター、佳主馬は今いないらしい。
「今日は暇?」
「22時から生放送の試合がある以外は、今日は何もないよ」にこりと笑う。
私たちはただのデータなのに、彼の表情筋は精密に笑顔を造りだした。胸の中を誰かに締め付けられるよう。マスター達はこれを愛情と呼ぶ。誰にも内緒の、私とカズマの"恋愛"。
それはとても幸せなものだった。
「じゃああと6時間もあるね」
「そうなんだ。だから」
「うん」
真っ白な両手が私に広げられる。私はそれに思いっきりとびついた。

あなたのお腹のうえで甘えるのマイブーム

ごろごろ
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