息が苦しい。私は今首を絞められている。けど、私は悪くない。何もしてない。ただ、勝手にこの人が怒っているだけだ。それに間違いはない。だって私は今こんなに冷静だし、彼の顔は怒りに染まった真赤な色だ。綺麗な銀色の髪が、さらさらとその真赤な顔にふりそそいでいる。綺麗、とても奇麗だった。怒りの中にも僅かに覗く切なさや、私に向けられた溢れんばかりの愛。いびつに歪んだ口角でさえも。今の私には完全に計算されて造られた芸術のようにしか見えない。この時間を永遠に切り抜いてとっておきたいと思うほど。ああ!どうしてこの人はこんなにも醜く不完全で、それでいて完璧とも言える美しさを持った、なんて愛おしいひとなんだろう!私は感激して、彼に抱きついてキスしたい衝動に駆られた。私が薄ら笑みを洩らすと、彼は再び銀の髪を揺らして顔を歪めて魅せた。ああ、でも、これ以上は本当に機嫌を損ねてしまうかも。私は腕を伸ばして、ふわふわと軽く踊っている銀の髪を抱きしめた。

「……好き、すきなの。」
「じゃあ、どうして…」

私はその質問に答えられなかった。息が苦しくて言葉がでなかったのもある。だけど、それよりも教えてしまったら。そしたらこの素敵な尊い時間が失われてしまうから。だからこの場をはぐらかす為に、私は銀時に性急なキスをした。

それはとても醜くめでるべき感情

「もう浮気すんなよ」

私ね、もう少ししたらあなたの奥さんになりたいなって思うのよ。だから安心して?その頃には、もうきっとあなただけの私になれるから。

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企画胎内様に提出

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