夢を見た。凄く幸せで、暖かい夢だ。私は白いワンピースを着て、政宗を手をつないでいた。そしてどうしてなのかはわからなかったけど、ずっとずっと遠くまで歩いていかなければならない。振り返ると、佐助が「振り返らないで、あるかなちゃダメでしょ」そう言われて前を向くけど、やっぱり皆が気になって振り返ってしまう。「某はおぬし達を忘れたりなどしませんぞ」幸村君と、「何度も振り返る暇があったらもっと早く歩きなさい」かすがちゃん。いろんな人が私たちを見送ってくれて、きっともう二度と逢えない。それは凄く哀しくて寂しいことだ。けど、政宗と一緒ならきっとどこまでも行ける。だんだん小さくなっていくみんなの姿に、何度も振り返って大きく手を振りながら。だけど決して歩は止めずに、硬く手を繋いで。名前の知らない、薄黄色の花の中にある道を歩いていく――そんな夢だった。

「…おい、」

政宗の声がする。コーヒーとメープルシロップの匂いがして、心地よい夢の世界からみるみる内に引き離されていった。そうだ。ここは私たちの家だ。ちょっと行った所に佐助と幸村君が住んでるアパートがあって、その手前に小十郎さんの家があって、ひと駅行った所にはかすがちゃんの家がある。大丈夫だ。私はちゃんとこの世界に生きてる。

「早く起きろよ、breakfastが覚めちまうぜ」

暖かいシーツに温まる私の頬を、長くて暖かい指がなぞった。くすぐったくて、もっとまどろんでいたくてシーツにくるまる。すると、ベットのスプリングがぎしりと鳴った。

「なあ、kissがしてえ」







私は幸せなんだなあ、と実感したいつもの朝。
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