私は泣いた。仲間の怪我を、仲間の敗戦を、仲間の死を。
彼は怒った。私の涙を、私の笑顔を、私の感情を。
彼は、私が感情を表に出したり、他の誰かと会話したり、酷い時は目が合っただけで、私を押し倒して声の限りに怒った。勿論皆に聞えている。じきに皆、私に話しかけなくなった。ただし、彼は決して意味もなく怒鳴り散らしている。なんて訳ではないのだ。例えるのなら、可愛らしいやきもちのようなものなのだ。私はそれを多少煩わしく思ったことも確かにあるが、それに嫌悪した覚えはない。目を瞠るくらい綺麗な頬に手を当て、ごめんね、と呟いて、彼にしか見せない笑顔で笑う。そうすれば、彼は私を許してくれたし、怒鳴った事を謝ってもくれた。彼が私を愛してくれるように、私も彼を愛している。銀時や小太郎と話すことができなくなっても、私はそれでもよかった。彼を不安にさせるくらいなら、仲間の怪我で泣いたりなんかしない。仲間の敗戦をなぐさめたりなんか、仲間の死を悔やんだりなんてしない。泣かないし、笑わないし、表情を表にだしたりしない。それで晋助が私を愛してくれるなら。それでいい。そう思い始めた日、晋助が物凄い形相で私に駆け寄り、血なまぐさい掌で私の両肩を潰さんばかりに握り締めた。驚きすぎて、痛みを感じる隙もない。目をまんまるにして晋助の目を見る、自分の顔が晋助の恐いくらいに狂気に満ちた目から見えた。

「お前…っ」
「ど、したの、しん」

ぞくぞくと、気味の悪いような快感が駆け上がる。

「お前は、もういらない」

ああ、もうダメだな。

「解ったんだ」

なとなく、直感でそう解った。

「お前を殺せば、俺はお前に縛られなくて済む」












むず痒さ


嬉しい



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