何をしていても何を考えていても結局思考はあいつの方へ向かっていった。それがなんだか片思いをしていた時の様で少し懐かしく、付き合っているというのに何も進展していないのだと思い知らされたようで少し哀しくなった。学校も勉強もどうだっていい。ただ一生涯あいつを暮らすための手段と場所と思いがあればそれで十分だった。きっと今日もあの部屋で待っているだろうから、駆け足でその場所に向かう。もう何回も通った道、見慣れたその道が僕を幸福に導いている。
乱暴に扉を開け放つと、弱ったような目をした小さな体が目に映って、力加減なんて忘れて抱きしめた。こんなにこいつが好きなのに、きっとその半分もこいつに伝わってないんだと想うと無性に悲しくなった。それを少しでも伝えたくてもっと力強く抱きしめようと思ったけど、これ以上抱きしめたらこの細い体が壊れてしまいそうでできなかった。やわらかい髪に顔を埋めて深呼吸をする。凄く安心した。でもこいつはきっと僕のことを僕がこいつを想っているほど好きではないんだと想う。だけど弱っているように吐き出される小さくて震えた吐息は、今の僕には十分な幸福材料だった。なんだか無性に顔を見てキスしたくなったけど、でも今は抱きしめあっていたいと思った。この身体に、こいつを守るだけの力と価値があるのなら、僕は一生それを手放さずにこいつを繋ぎとめていたい。小さな身体の大きな温もりを全身に感じて、涙が出そうなほとそう想った。
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