かずまたんに指をチュッパチュッパされちゃうえろんぬ

佳主馬の指は綺麗だと思う。褐色でさらさらした肌に、細長くて形の綺麗な指。その指が、無機質なキーを叩いている。滑らかな、艶っぽい動きで。

「えっろ」
「は?」

頭で思っただけだったはずなのに、無意識に口から出ていて驚いた。佳主馬は怪訝そうにこっちを向いて、頭おかしいんじゃないの、とでも言いた気な目をわたしに向けた。わたしは佳主馬に変な誤解をされるのはこれからの生活、困ってしまうので渋々あの言葉が出るまでの経緯を説明した。佳主馬は興味なさ気に、でもキーを叩いている手は休めてわたしの言葉を聞いた。なんか、この人は指だけじゃなくて、しぐさが全部えろい。薄暗い部屋でしたたかな視線をこっちに向けている佳主馬の目の光、さり気ない指の置き方、綺麗にゆれる髪。

「ほら、佳主馬たんの指をチュッパチュッパとか、言うじゃん」
「…それはキングの話でしょ」

ああ、そうか。と納得して画面から不思議そうにこっちを見ているキングと目が合うと、視界のピントのあってないところで佳主馬がにやりとわらった。

「したい?」
「え?」
「僕の指、舐めたい?」

いきなり何を言い出すんだろうか。とうとう佳主馬はOZのやりすぎで頭がおかしくなったんだ。だってほら、そうじゃなきゃ、あの佳主馬がわたしを押し倒したりする訳がない。ね、そうだよね。

「…一体、何を」
「ああ、でも、あんたは妙に恥しがり屋だから、僕がしてあげる」

そう言うや否や佳主馬はわたしの手を握って場に似合わないさわやかな笑みをわたしに見せた。その綺麗な笑みに魅せられているうちにわたしの左手の薬指は佳主馬の口の中。熱くってやわらかくって頭が沸騰しそうだ。

「…な、…」
「顔まっか」

ぬるぬるしてて、こそばゆくって、変な感じ。あのつっけんどんな佳主馬が終始笑っていて、これは夢なんじゃないだろうかとわたしに思わせるほどだった。ちゅ、というリップ音付きでわたしの指が佳主馬の口から離れる頃には、わたしはすっかり息をあらげて涙目になっていた。佳主馬がよく見えない。

「…やっぱり」
「な、に…」
「アンタのほうが数倍えろい」

見えなくても、佳主馬が今日一番の笑みを見せていることは容易に想像できた。




あしたを生きるおまじない


しずかにねむってね、おわりの夜を待つのさ
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