わたしがどれだけ傍に居たいと願おうとも、政宗さまはいつも孤独と隣りあわせだ。母親には毒を盛られ、父親をやむおえなく殺めた政宗さまには、まるで哀しんだり辛い思いをしたりするようなことを恐れるかのように戦に行く。笑っているように見えて、その傷はとても深い。容赦なく抉り抜かれていて、そこだけぽっかりと穴が空いている。小十郎やさまざまな人との出会いやふれあいで、その傷は少しずつ癒えてきた。そして真田さまという好敵手を持ってからは、政宗さまは溌剌としていらっしゃって、小十郎と同じくらい前から政宗様のお傍で戦をしてきたわたしにとってはこれ以上喜ばしい事は無かった。
「Let's party!」
「政宗さま!」
今日も政宗さまは駆ける。わたしはただひたすらその背中を追ってひた走るのみ、ずっと前からお使えしてきたわたしには、解る。
ひとり、海の底にて
包帯だらけになってしまった手のひらを握り締めると、じわりと赤く沁みた。
20100622