佳主馬には彼女がいるらしい。元気で明るい人だそうだ。なんでもOMCも結構強くて、クラスの男子にその技術を伝授する程だそうだ。なんの芸もない引っ込み思案なわたしとは違う。

「どうしたの」
「あ、いや、」

じゃあ、わたしって凄く邪魔な存在なんじゃないだろうか。幼馴染ってだけで高校生になった今でも佳主馬の家に出入りしてるわたしって、その彼女さんにとってかなり邪魔なんじゃないだろうか。

「…帰るね」
「…だめ」

あたしの折角の好意を佳主馬は無視して、あたしの腕を掴んだ。ほっそい手だ。そのくせ力強く掴まれて振りほどけない。佳主馬の顔をみると、じっとあたしの目を見ていて、びくっと肩が揺れた。座ってる佳主馬に立ち上がろうとしてるあたし。あたしの事を見上げる目は逃がさないとでも言っているようだ。その恐いくらい真っ直ぐな視線に、あたしは泣きそうになった。

「俺、彼女なんていないよ」



かずまっていっつもずるい
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