銀ちゃんが浮気をした。路地裏で、熱く口付けを交わす二人をみた。銀ちゃんは、それをまじまじと見つめるあたしに気が付かないほど、キスに夢中だった。可愛い女の子だった。あたしなんかと違くて、守ってあげたくなるようなそれはそれは可愛い女の子だった。その子は一瞬あたしと目を合わせて、にやりと笑んだ。かまととぶった、嫌な女の子。どうしよう、あんなのに銀ちゃんを取られたくない。でも、浮気してたよね?なんて言いたくない。そうだよ、だから別れよう。とか言われてしまいそうで。そんなかなしいこと、銀ちゃんに言われるくらいなら、

「銀ちゃん」
「あー?」

銀ちゃんはいつもと変わらずダルそうに返事をした。いつもとかわらない。なんにも、なんにもかわんない。

「別れよう、?」

空気が凍ったのが自分でも解った。洗濯物を畳む新八君と、さだはると遊んでいる神楽ちゃんの動きが止まった。三人の視線があたしにあつまる。銀ちゃんは、信じられないと言う顔をしてあたしを見ている。銀ちゃん、その目はもしかして、バレた、とか、思った?あたしね、銀ちゃんに言われてしまうくらいなら、先に自分で言った方が哀しまずに済むと思うんだよね。だって、銀ちゃんにそんなこと言われてしまったら、悲しみで死んでしまえそうだもの。…とは言っても、自分で言うのもかなり辛い事だった。鼻がつんとして、目元に水分がたまってくるのがわかる。銀ちゃん、はやく、あたしが泣いてしまわないうちに、ばいばいって、

「やだ」

お前がなんでそんなこと言うのか、俺なんとなくわかっけど、もうやめるから、絶対しないから、それだけは。と銀ちゃんは言った。すごくすごく傷ついたような顔、その顔に新八くんも神楽ちゃんも目を丸くしている。あたしはただじわりじわりと迫ってくる涙を堪える事に必死で、言葉を紡ぐことすらできない。そんなあたしを銀ちゃんは優しく抱きしめた。あの子を抱きしめた腕で、あたしに触らないで。そう思う可愛くないあたしと、どうしようもない安心感にかられてしまうあたしがそこにはいた。

もうやめにしようよ

俺、お前がいないとほんとダメなんだ。でもお前は恥ずかしがり屋であんま俺に好きとか言ってくんないし、たまにすっごく不安になる。それで他のところに行っちゃうこともある。俺、最低だよな。でも本当に、お前がいないと俺だめなんだよ。もう俺どこにも行かないから、お前もここに居てくれ。銀ちゃんはそう言って泣いた。

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