「……なあ」
「…うん」
今までの乱暴な口調は嘘のよう。大人らしさと言う名の皮を剥せばこんなに弱い人がいる。
「俺、」
「…あたしだって、解んない」
「………」
「わかんない、けどっ…好きだよ」
ずっと、あんたがあたしのこと好きになるずっと前から。そういうと、「うん」と頷いた。それから抱きしめられて、家の中に強制連行された。あの人の臭いが染み付いたぶとんにダイヴ。さっきまでのドロドロした空気は嘘のように穏やかな時間が流れていた。
「なあ、」
「なによ」
「名前、」
「うん。」
「呼んで」
「……」
「ずっと呼ばれてないんだ」
「…今更、」
「呼ばねーとチューすっぞ」
「わ、わかったよ」
「ささ、どうぞ」
「………銀時」
「なあに」
「呼んだだけ」
「あっそう。じゃあチューします」
きっと銀時のこんな顔を知ってるのはあたしだけ
舌があたしの唇まで降りてくる。唇を舐められて思わず上ずった声がでそうになる。そのまま唇を合わせて、あたしとあの人の馬鹿な話は終了。